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時刻は、午前5時30分を少し過ぎたところ。白みはじめた空をぼーっと眺めながら、俺は再びベッドに沈んだ。
「いつもの癖でこんな時間に起きてしまった……」
部活をやめたのだから朝練などないのに、慣れとは恐ろしい。
もう一眠りしようと、布団を被るが右へ左へと寝返りをうつだけで、なかなか眠れない。
「だめだ、起きよう」
ベッドから起き上がると、シャツのそでに腕を通した。
「おはよう、陸斗くん」
「おはよう」
甘い綿菓子みたいに、ふんわり笑う眞希の頭をなでながら、あいさつを返した。焦る声が隣から聞こえてきたが、気にしていられない。
「……陸斗くん、なんかおつかれ?」
「あー、うん。朝やることなさすぎて疲れた」
「なにそれ」
くすくすと眞希が笑う。なんだか少し歯がゆくなって、眞希の頭をさっきよりも強めになでた。
「ちょ、頭がぐしゃぐしゃになる!」
「ごめん、ごめん」
「……おい」
「冬馬、いたのか。おはよう」
いつの間にか、俺の目の前に冬馬が腕を組んで立っていた。
「いましたー、ずっとみてましたー」
じと目で口を突き出しながらそう言う冬馬が、なにを言いたいのかよくわからない。
「なにが言いたいんだ?」
「なんでもないですー」
俺の会話を聞いていた眞希は、隣で肩を揺らしながら笑っていた。
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