第3話 私は、雨がキライ

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「それじゃあ、明日休みだからって夜更かしとかするんじゃねーぞ、解散」  担任のその言葉を気に、生徒は一気に椅子から立ち上がった。教室をさっそうと出る者や教室に残って友人としゃべり始める者にわかれる。  俺はゆっくりと立ち上がると、カバンを持ってさっそく美術室へと向かう。 「陸斗、どこいくんだ?」 「ちょっとな、美術室」 「美術室?なんの用があるんだよ」 「そう、冬馬は部活だろ」 「おう」 「眞希は?」 「僕は、今日も妹と弟迎えに行くよ」 「そっか、じゃあまた月曜日」 「陸斗くん、またねー」  二人に手を振ると眞希は、いつもの笑顔で振り返してくれる。そのまま、俺は教室を出た。 「またな……っておい、質問の答えは!?」  冬馬の大きな声が廊下まで聞こえてきておもわず、ふっと笑ってしまった。  昨日と同じように、少し早歩きで美術室へと向かう。秋晴れという言葉が似合うほど空は、透き通るように青い。  階段を上ると、すぐそこに美術室が見えてくる。今日は、美術室の扉は開け放たれていた。  ここをのぞけば、あの絵を描いた小夏樹雨さんに会える。そう思うと、さっきまで普通に脈打っていた心臓が、急に激しく打ちはじめた。 (会ったら、言うんだ)  ゆっくり、ゆっくりと入り口に向かって歩く。あまりの緊張に目の前がゆらゆらと揺れている。 (絵の続きを描いてくださいって!)  意を決して美術室の中へと入った。南先生が居ると言っていた席へと視線を向ける。
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