第4話 部外者が口を挟むな

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 あわてて通りすぎる彼女の腕をつかんだ。まだ、彼女には聞きたいことがある。 「もう、絵は描かないの?」 「描かないし、今の私じゃ描けない」 「どうして?」 「どうしてって」  戸惑う小夏さんと俺の間に、ピアスの彼がわって入ってきた。彼は、鋭い目つきで俺をにらむ。 「おい」  低くドスのきいた声に少しだけビビってしまうが、俺は引かなかった。  ここで、引いたらもう二度と、小夏さんは絵を描かなくなってしまうのでは……そう思った。 「小夏さんのその手は、動くのに?」 「おまえ、いい加減にしろ。部外者が口をはさむな」  どんっ、と強く肩を押されて、後ろへと倒れる。打ちつけてしまった背中が少し痛むけれど、俺は立ち上がった。 「……じゃない」 「あ?」 「部外者じゃない」  大きな声が教室中に響いた。  関係ないと言われてしまったのがイヤだったのか、それともあの絵をもう一度みることに意地になっていたのか。 「俺、今日から美術部に入る。だから小夏さん、俺と一緒に絵を描こうよ」  小夏さんに向かって、俺は手を差し伸べた。  この手をとってくれることを信じて……。
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