第5話 俺らに足りないのは女子力か

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「び、美術部に入ることにした!?」 「うん」  月曜日、みんながお昼ご飯をたべているなか、眞希の甲高い声が教室に響いた。お弁当をしまっていた眞希の手は、驚きのあまり止まってしまっている。 「陸斗が……び、びじゅつぶ……はら、はらいたい」  眞希の隣では、バン、バンっと机をたたきながら腹を抱えて冬馬は、笑っていた。 「とーおーまーくーん」  そんなに、俺が美術部に入るのはおかしいだろうか。 「すまん、すまん」  謝りながらも笑わないように口を手でおさえているが、肩は小刻みに揺れている。 「でも、なんで美術部?」 「あー……うん、ちょっと気になる子がいて」 「え、なに、すきな子?恋バナ?」  俺の気になる子発言に食いついてきた眞希の瞳は、キラキラと輝いている。  気になる子=恋、なんて方程式ができているあたり、本当は眞希は女の子なんじゃないだろうか。 「ちがう」 「じゃあ、なんだよ」 「……なんて説明したらいいか……うーん、その子の描く絵が好きで、でもその子ってなんか、ほっとけなくて」 「よくわかんねぇけど、とりあえずすきな子目当てで入部するってことでいいか?」  小夏さんのことを説明するのが難しかった。考えながら話すとしびれを切らしたのか、冬馬のおおざっぱな理解に、ため息をついた。 「……もういいです、それで」 「……ひとつ、いい?」 「なに?」 「陸斗くんって、絵って描けたっけ?」 「…………」  しん、と教室が静かになった気がした。実際は他の生徒は教室にいるし、しゃべったりご飯を食べたりしているのだが……。 「……陸斗、ちょっと描いてみろよ」 「うん」  冬馬からルーズリーフとシャーペンを受け取り、俺はペンを動かした。
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