第2話未完成、なのか

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 放課後、外は滝のように雨が降っていた。 「もう少し、雨が弱まったら帰ろう」  折りたたみでは、この雨は耐えきれないだろう。  窓から雨の降る景色をみながらそう思っていると、ふと思い出したのは今日と同じくらい雨の強い日のことだった。  はぁ、はぁとリズムよく息をはき、それに合わせるようにキュッキュと靴がなる。外はザァザァと雨が降っていた。  雨の日の練習は、ただひたすら校舎を走り回るだけで、見慣れた景色は面白みがない。コロコロと変わる空とは違い、気を紛らわすことができない。  だから、雨の日の練習は嫌いだった。  階段を駆け上がり、美術室の前を通り抜けた時だ。珍しく開け放たれた入り口から、窓辺にポツリとキャンバスが飾られてるのが見えた。雨上がりだろうか、すっきりと晴れた空に大きく虹がかかっているその絵が、とてもキレイだと思った。  ただ、残念なのがその絵が……。 (未完成、なのか)  美術部員でもない俺が一目でわかるほど、その絵は完成とはほど遠いものだった。 (みてみたい)  あの絵が完成するところが見てみたい、そう思うと嫌いな雨の練習でも走り続けられた結局見ることはできなかったけれど。 「……あの絵、どうなっているんだろう」  あれから、3カ月がたった。もう完成しているのだろうか。  俺は、カバンを持つと教室を出た。向かうは美術室、あの絵の元へと……。 少しだけ、歩く足が速くなる。あの空がもう一度だけ見たい、その一心だった。
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