攻略失踪ルート

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14 <犯行現場> #15 Monologue 誰が、何を行ったのか。これには大体見当が付いている。防がなければならない犯行の内容は。概ね、強姦だった。そうして、彼女の登場以降まずなすべきは、張り込みと尾行だった。この行動の順序は先ず尾行、しかる後に張り込みに成る予想だった。故は彼女の立ち寄り先と自宅を知るのにまず尾行が必要で、立ち寄り先と自宅が判って始めて張り込みが可能だからだった。 彼女の就業時間と終業時刻を知る必要があった。 施設の内部にいられるのは私の場合、今まの処昼までだった。 「お先に失礼します。」 「お先に」 ―― 三々五々午前ハーフの人が帰りだす。 午後もの人は昼食の準備に入りだす。 職員がテーブルを殺菌し始めた。 今日は彼女の姿を見ていない。 帰りにはスタッフルームに寄って挨拶して帰るのが常だったが、あまり期待はしていなかった。居無い。そんな気がした。 ノックをする。 中の職員がどあをあける。 「お先に失礼します。」 「お疲れ様です。」 今日は、休みらしかった。 ******* ******* #16 犯行現場 悪役の描写と言うのは難しく、当人の悪がよく把握できていないと、返って滑稽なキャラクター描写になってしまう。事件が事実であり、憎むべき行為である限り、犯人像はリアルに憶測無く、その悪を描くものでありたい。犯人が憎いから。 およそ犯行は知人の範疇から入り、若干の脅迫めいた威圧によって相手の自由を奪い、突然有形力の行動阻害、押し倒すとか、に及んだものと思われる。犯人が複数だったかは、不明である。 血中から採取された反応から薬物の使用が認められた。被害者に薬物使用歴は、ない。 遺書の類はなく、衝動的なことだったと思われる。 伝聞ではそう聞いている。 防ぐべき事件の、日常に比する、凶悪さが解る。 ******* ******* 仏のいみじき――と友情団結勝利 #17 どうやって防いだものか。 二度にわたって時間粗鋼には失敗した。 そもそも遡行するものではないのか? 目が覚めると二年前だった、というわけには中々行かなかった。 どうやっても時間は止まんないし。 どうやってもうまくいかない。 出来事をオセロのようにひっくり返すのは難しい。 たとえ道理が有ったとしても。 ため息をついて、打鍵していたら後ろから声が掛かった。 ‟その話請け負った‟ 学生に見えた。 ”いつ” 犯行は何時行われたのかか。 ”2021” ”結構きついな” ”味方は居ると助かる” 冗談だったのか、当てにしたら、 ”ヤーザク相手に学生に何ができる?” ”大石寺なら道理を” ”いや、そっちじゃなくて” ”そっか。敵は外道か” ******* ******* 男女交際 #18 都内某所。 ダウンタウンの一角。 メゾンデの「本当は夜の端まで」がラウンジに掛かっている。 「悪くないでしょ?」 「そうですね」 「個室あるんだけど」 「……遠慮しておきます」 宣伝されていない秘密の宿泊施設。 それがこの町の秘密の一つだった。 ******* *******
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