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外で待機していた実行委員の誘導で
グランプリにエントリーしていた人たちが
衝立で隠された入り口からこっそり入って来て
1年3組の実行委員が段取りを説明すると舞台袖で整列して待機した
「いやいや、ボクが質問しているんだよ」
「日本語お上手ですね」
「日本人です」
フフッとコンビにゆかりのある人達だけの笑い声が聞こえる
二人の一切浜辺にちなんでいないコントに
「そこどこ~!」
「浜辺は~?」
「浜辺は~!」
ヤジが飛び
「「ここは、浜辺のイタリアンレストラン~」」
最前席でクスクスと、親兄弟の笑い声が聞こえる
「無理やり~!」
「むりやりやぞ~」
「「イテテテでした~」」
もう、誰も笑っていない
舞台袖から出てきた1年1組の太田くんは、
マイクを片手に、時折左手に持っている白い紙を見て壇上から見渡すと
「みなさん! 楽しんでいますか~!
バラエティに富んだコントおもしろかったですね~」
「太田~! 面白いこと言え~!」
太田くんは、ヤジを叫ぶ生徒を真顔で見つめた
「・・・・・」
割腹の良い太田くんは動じない
「はい、面白いことは言えません」
静まり返った会場で、数人の父兄が笑った
「わ~! たくさん見に来てくれてありがとうございます
グランプリの集計が出ました!」
登壇して整列したグランプリのエントリー者たちは手を振る者や恥ずかしがる者
会場から声援を浴びる者と一気にステージが華やいだ
「投票の結果!
浜辺のプリンスグランプリは・・・
浜辺のマーメイドグランプリは・・・
に決定です!
おめでとうございます!」
キャーキャーと会場からの女子たちの悲鳴に
何ごとかと、父兄たちがキョロキョロと辺りを見渡している
優勝者のふたりがそれぞれポーズをとって
贈呈式が終わり
司会の太田くんと共にステージを去る頃に
ザワザワと色めき立った
コントより
グランプリより
これだけ体育館が賑わっているのには、訳がある
ドンドンドンドン
ステージの両サイドのスピーカーから
大きな鼓動が聴こえてきた
緞帳の中から聴こえるリズム
幕が開いた瞬間から広がる別世界
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