日出と明日香

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 栗柄峠展望駐車場。  その一角に四台の車が並んでいる。  白いKRPS13型 日産・180SX。  銀のZZW30型 トヨタ・MR-S。  黒いJZX100型 トヨタ・マークII。  赤いEF7型 ホンダ・CR-X。  年式もメーカーもバラバラの四台だが、全てのリアフェンダーに小さな狼の顔と、『LITTLE FANG』の文字があしらわれたステッカーが貼られている。  恐らくはチームなのだろう。二十代と思われる男女が談笑している。 「そういや小次狼、そろそろこのシートも寿命だしまた新しいステッカー手配しといてよ」 「わかった。色はまた黄色でいいか?」 「いいっしょ、あのシートが一番安いし」  取るに足らない話。彼らにとっては日常とも言える時間。  このまま今週もいつも通りの週末が過ぎていくのではないか。そんな風に彼らは思っていた。  彼らのリーダーである青年が、一台の車に気が付くまでは。
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