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笠原と日出を送り届け、一人きりになったGC8の車内。
世話になっている叔父の家には戻らず、明日香は栗柄を目指す。
走り屋のいない、孤独な闇の中を駆けるGC8。
――いつから自分は一人だったのか。
追う相手も、追われる相手もいないこの道は、まるで現在の自分の状況のようで、それが自らを苛み、フラストレーションを否応なしに溜めてゆく。
彼女らしくない、荒いアクセルワークにより、エキゾーストからは赤い焔が吐き出され、乾いた破裂音が闇に飲まれる。
コーナーを一つ、また一つと抜け、徐々に頂上が迫るが、彼女の求める答えは見つからず、それは静かな怒りとなり、より足に力を籠めさせる。
――走ることはこんなにも孤独だったのか。
怒りは惨めな感情に変わり、あれほどまでに踏み込んでいたペダルも、緩やかに戻ってゆく。
窓を開け、夜風を取り込む。
既にスピードメーターは法定速度まで戻り、景色はゆっくりと流れている。
自分は何をしているのだろう。
そんな風に考えた瞬間、彼女は路肩に輝く破片を見つけ、GC8を止める。
塗料片やエアロの破片に混ざり路肩に転がっていたもの。それは日出のS14のコーナーレンズだった。
彼女はそれを手に取り、日出との出会いを思い浮かべる。
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