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「それで? やっぱりその夜から来れそうなんですか?」
彼女の言葉に、明日香は渋い顔を見せる。
「一応金曜までにサイドの傷直して、当日にフロント周り取り付けるらしいわ。もう足回りなんかは終わってるらしいから心配ないんやけど、当日にならなわからんなぁ……」
笠原は腕の良い整備士だ。だが、それを手伝うとあの日出が息巻いていたことが、逆にトラブルでも起こさないかと一抹の不安を覚えさせる。
「あはは……。なら、ウチのメンバーに無理にでも行かせます。確かに日出ちゃんだけの手伝いじゃ頼りないし……」
「すまんな、恩に切るわ」
明日香はそう言うと、煙草を携帯灰皿にしまい、GC8の方へ向かう。
「ありがとな、里沙。また来るわ」
「ええ。またのお越しをお待ちしております」
キーを指で回しながら去る後ろ姿に、里沙は苦笑しながら別れの言葉を告げた。
明日香が去り、一人駐車場に取り残された里沙。
彼女はスマートフォンをポケットから取り出すと、アドレス帳に書かれた仲間の名をタップする。
「もしもし? 小次狼? アンタ金曜ヒマ? ……いや、暇じゃなくてもどうしても金曜予定開けて貰いたいの。……あ、そういやアンタ、確か家に使わないホイール持ってたよね――」
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