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ファストフード店のドライブスルー。多くのドライバーにとってはなんてことのない施設だが、日出にとっては愛車を手に入れたら試してみたいことの一つだった。
「チーズバーガー、ナゲット、バニラシェイクS。以上でお願いします。あ、ナゲットはバーベキューソースで」
マイク越しに注文を唱え、商品を受け取る。今度は失敗こそしなかったものの、幼い頃から憧れていた行為をできた達成感からか、日出は興奮を抑えきれず、商品が収まった紙袋に視線をやりつつ、車内で一人喜んでいる。
「車、買ってよかったな……!」
そうこぼすと、嬉しさからステアリングを握る手にも自然と力がこもる。紙袋越しに刺激するファストフードの匂いも彼女を刺激し、空腹と焦燥感を促す。
「ガソリンは入れた、お昼も買った……」
自分自身に言い聞かせるように、声に出しながら一時間にも満たないドライブを振り返る日出。
信号待ちで止まると、彼女はフロントウインドウ越しに見える山を見上げ、軽く深呼吸をしてから呟く。
「最後は、栗柄だ」
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