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クリーニング店の受付は暇そうに見えるかもしれない。
でも、今日のようにお客様が列をなして、自動ドアの向こうの駐車場にまで並んでいたら息もつけない。
お客様から品物を預かり、その場で検品する。
例えば傷や破れがあった場合、お客様の目の前で確認しておかないと、「そんな傷はなかった。弁償しろ」と言われかねない。
レジに品名と色・柄を打ち込み、会計を済ませて伝票を渡す。
引き取りに来た品があれば、奥から探して引き渡す。
そして、すぐ次のお客様だ。
暇な時なら、ここで品物にタグを付ける。○○店の何番というあの細長い小さな紙だ。
でも、今日みたいにお客様が並んで待っている時は、タグ付けを後回しにして接客しなければならない。
そして、合間を見て急いでタグを付ける。ベテランさんだとこの辺の要領が上手い。
「マネージャー、タグ付けが出来てないから洗いに持って来られないって。それじゃあ、仕上げが間に合わないってのに」
洗いの砂押さんはかなり焦っていて不機嫌だ。
仕上げられた品物をタグを見ながら、店舗ごと番号ごとに伝票と照らし合わせて分類するのが今日の私の仕事だ。
ポジションはその日によって違うけど、私はこの『斡旋』というポジションになることが多い。
それは私がコートなどの重さのある服がかかったハンガーを、まとめて片手で持って動き回れる体力があるからという理由だけではない。
工場全体の流れを読んで、遅れ気味のポジションをフォロー出来るオールラウンドな力があるから。
20代の独身女性がクリーニング工場で働いているのは珍しがられるけど、工場では結構貴重な戦力になっていると自負している。
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