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しかし、バケツの上面にいるヒヨコ達にも試練が訪れようとしていることにまだ気付かなかった。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
バケツの中のヒヨコ達は、人間の手にどんどん鷲掴みされると、卵の殻と一緒に次々とシュレッダーという悪魔の刃に入れられ、粉々に砕けちっていった。
ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!ぴー!!
雄のヒヨコ達の断末魔の叫び声が、建物中に響き渡る。
「ぴー・・・ぴー・・・もうイヤだ・・・!!逃げたい・・・!!逃げたい・・・!!」
1羽のヒヨコが、バケツの底からなみなみと溜められた他の雄のヒヨコ達を押し退けてズンズンと這い上がり、ヒョコッとバケツの外に顔を出した。
「うわっ!!」
ころんころんころんころんころん・・・ドタッ!!
「いててて・・・」
バケツから転げ落ちた雄のヒヨコは、直ぐ様立ち上がって、建物から抜け出せる出口をちょこまかと探し回った。
「あったー!!」
雄のヒヨコは、まばゆい光が差す扉の隙間めざして一心不乱に駆け出した。
シュレッダーに次々に処刑されていく他の雄ヒヨコ達の無念を背負い、
この悪魔の建物から死物狂いで脱出した。
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