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「ほっほ、記入が終わったらこっちに来てもらえるかの」
いつの間にか移動していた館員は、その腕に本を抱えてコピー機の前で待機していた。
…………忍者かよ。
ってか、
「ちょっと待って下さい、コピーするページが記入出来ないんですけど」
「それはコピーしてからで構わんよ。ほれ、早くしないと時間が来てしまうぞ」
急かされて鉛筆を置き、館員の元に行く。
「とりあえず、三根古神社さんに関する話は全部かの?」
「そうですね、あるだけの情報は欲しいです」
情報はあるだけあった方がいい。
その方が考えも広がる。
「ふむ、では手伝おうかの」
「あ、ありがとうございます」
館員が三根古神社に関する話が載っている範囲を付箋でマークし、僕がその範囲をコピーする作業を担当した。三根古神社の話はそれほどないと館員は言っていたがそれは本当にその通りで、コピー作業にさほど時間はかからず、閉館二十分前には終わることができた。
「手伝っていただいて、ありがとうございました。助かりました」
郷土資料室を出る際、館員に頭を下げてお礼を言う。
コピーしたものは館員が気を利かせて、ホチキスで一つ一つまとめてくれた。
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