おつかいって言うパシり。

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 着くと、姉が夕飯を用意してくれていたので、御相伴にあずかり、食後のお茶を用意してから、おつかいの報告をした。 「えーっとね、これ、コピーなんだけど……」  僕は紙の束を出しながら、図書館とその帰り道でのことを話した。 「ふぅん……」  話を聞き終えた姉の反応はそれだけだった。  ……………………。  え?  それだけ?  特に帰り道でのことなんか結構な驚き話だと思うんだけど?  思わず姉を凝視する。 「ん? なに?」  コピーに手を伸ばした姉が、僕の視線に気付いた。 「イエ、ナンデモナイデス」  僕は目を逸らした。  この人…………もうちょっと人に興味、持った方がいいと思うんだけどなぁ…………。 姉がコピーに集中し始めたので、僕は急に手持ち無沙汰になった。  暫くの間、コピーをめくる音とカップとソーサーの音が続いた。  暇だな…………姉さんの紅茶、おかわり淹れてこようかな。  空になっていた姉のカップを持って、僕は台所へ移動する。棚から紅茶のバッグを取ってカップに入れ、電気ポットからお湯を注ぐ。カップから立ち昇った湯気が顔にかかり、思わず顔をしかめた。 「………………」  季節に関係なくホットな紅茶を飲むという、姉の気が知れない。
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