2633人が本棚に入れています
本棚に追加
「いたた……」
結構がっつりぶつかったらしく、揺れた頭にクラクラして少し屈んでしまう。
「ってーな、この野郎!!」
激しい怒鳴り声に驚いて顔を上げると、だらしなく背広を着崩したサラリーマンが鬼の形相で僕を見ていた。
「すいません……」
「どこ見て歩いてやがんだ!!」
唾を飛ばしながら怒鳴る様は、明らかに……酔っ払いだ。しかも僕と違って相当酔っているらしく、顔が変に赤らんで目が据わっている。
酔っ払いが酔っ払いにぶつかって怒られている……。情けない。そしてヤバイ……。今は走って逃げれる気がしない。
とりあえず謝るしかないか……。
僕はクラクラする頭に手をやりながら立ち上がって男を見た。ちょっとだけ、見下げる形になってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!