真夏の夜

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 夢の中で俺はみんなのヒーローだった。 「いけーノリマサー」 「その調子だ」  なんだろう、めちゃくちゃいい気分だ。今の俺はいつもの俺ではないんだ。  憧れのリカ先輩が目をキラキラ光らせ、ピョンピョンはねながら、世界遺産級にキュートな声で歓声を送ってくる。 「ノリマサ君カッコいーい!」  そうだ!俺は世界遺産級にカッコいい!  俺はあいつらを睨みつけた。あいつらというのは、黒っぽくてデカくて大群でひたすらに気持ち悪くて、なんだかよくわからないチカラで世界を滅ぼしそうな虫だ。  俺の腕の中には、おっきくて戦争映画に出てきそうな、本格的でカッコいい銃。  それを思いっきり撃つ。たった一人で危険そうな大群に挑むことへの恐怖など微塵もなく、俺は自信で溢れていた。  ズバババンズババズババズバババン  また、群衆から歓声が上がる。最も、俺はリカ先輩の声しか聞いていない。  虫を全滅させた俺はリカ先輩の手を取る。 「リカ。俺はお前を一生守る」 「ノリマサ君・・・」  リカの目からジワリと涙があふれる。  そしてここから感動のキス・・・のはずだった。  俺は生き残っていたらしい虫に刺された。 「うぎゃああああああ!痒いいいいいい!」  そして燃えるように、 「そして燃えるように暑いいいいいい!」  以上が今宵の夢の内容。
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