目が覚めたら、初雪

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カフェオレ、カフェオレ! 5分程で出てきた。 珍しい。 いつもはもっと長電話。 「知りたいことは直人から聞いたから、もういいって」 ………安否確認だったか。 目一杯のメールもカナさんのことよく知ってる人たちが、心配してか。 ほんとアイドルだ。 ちょっとだけ妬ける。 そいつら全員身元確認しなきゃ。 「もう!笑わないで!」 え、黒い笑みが漏れたかな? 「笑ってないよ、うん、笑って………ぐふっ」 ポコポコ叩かれても。 一分経過。 「満足した?カフェオレ作んなきゃ」 逃げよう。 これ以上は堪えられない。 もう吹き出す寸前。 お湯も吹き出す寸前。 蓋がしゃかしゃか言ってる。 ペーパーフィルター、セットしなきゃ。 うん、しなきゃ! カナさんの肩を押さえて引き離そうと、したら。 ! 「どうしたの?カナ?」 そんなに必死にしがみついて。 逆に抱き返すと、震えてる? 「……かった」 「へっ?」 「怖かった!」 「……転んだのが?」 「違う! 転ぶことが、怖いの。 5歳の時、初雪ではしゃぎすぎて、転んで頭ぶつけて救急車で病院運ばれて、大変な目にあったの。 それから怖いの、初雪!」
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