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あートラウマか。
意地っ張り。
最初から言えばいいのに。
そっと、でも強く抱きしめ直す。
しばらくそうやっていて。
震えが止まったみたいだな。
「落ち着いた?」
「……うん」
こっくりと俺の胸の中でうなづく。
良かった。
うなじに赤みが差してる。
……舐めてえ。
いかんいかん!
頭、切り替えないと。
ちょっとだけ立ち上がってきてる。
「でもさ、カナ。体操やってたんなら、転倒って普通にあったんじゃないの?」
小さい頃から体操クラブ入ってたって聞いたような。
「雪なんかないもん、室内だもん」
拗ねた目で見ないで。
さらに強く抱き着かないで。
もう。
限界を超えたら責任取ってくれるんでしょうね。
結構、ヤバくなってる。
「わかったよ、カナ。もう大丈夫。
今年のオープンセレモニーは済んだから」
「ブフォオッ!」
……カナさん。
大人の女性なんですから。
その笑い方は止めましょう。
一気に落ち着いたわ!
「お、オープンセレモニー……ぶふっ」
笑いのツボに入ったみたいだな。
はいはい、カフェオレ入れるからね。
今度こそカナさんを引きはがす。
「お布団直してこよ」
そうしてください。
俺まで行くと、そのまま連れ込みそうだから。
「直人!」
びくり!
「何?」
もう、今ドリップ中なのに。
「来て、早く!」
切羽詰まったカナさんの声に。
再び、立ち上がる俺のソレ。
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