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そこは真っ白な、窓すらないガランとした教室二つ分ほどの広さの空間。
だが、その形は奇妙な六角形をとっており高い天井全体覆う半球状の照明が少し明るすぎるくらいに照らす。
六角形の空間と言うよりは六角柱と言った感じなのだろうか?
そこに、僕とミカそして後二人。
一人は部屋の角に持たれて胡坐をかく何だかガラの悪い男。
僕らを睨むその人は、学ランを何やら加工して身に着け時代錯誤のリーゼントに伸ばした襟足を金色に染めている辺りきっとヤンキーと呼ばれる人種……なのだろうか?
……漫画以外で、こんなビジュアルの人は初めて見たけど。
「あ、あのぉ~すみません」
じっと、ヤンキーとにらみ合ってた僕に何だか間の抜けた声がかかる。
「え、あ、はい?」
視線を移すと、そこには普通の学ランに身を包んだ何だか人当たりの良さそうな感じの人が顔からずり落ちるひび割れた眼鏡を押えながら何だか申し訳なさそうに切り出す。
「えぇぇっと……、君も何も知らない感じなのかな?」
その問いに、僕が『知らない』と首を振ると『あ~そうなんだ~参ったなぁ』とがっくりとされる。
参ったのは僕も同じだ。
ここに至るまでの前後の記憶がはっきりしないし、此処が何処なのか一体何があったのかなんて見当もつかない。
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