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物音がするかと耳をそばだてても聞こえてくるのは、栗栖川さんが使用していると思われるシャワーの音くら───。
「……」
僕の視線は、ふと見上げた監視カメラと思しきレンズに魅入られる。
ポーン♪
『ガガガ____お困りですか? 月島さん』
「!?」
まるで、『目が合ったから』と言いたげに悪びれもなく不愉快な機械音が応える。
当然なんだろうが、やはりずっと見張られていた…そう思うと胸糞悪い。
が、この機会を逃す手はないだろう。
僕は、恐らく声を発しているだろう隅の監視カメラを睨む。
「この通りミカの調子が悪い…没収された薬を返してほしい」
『申し訳ありません月島さん…回収させていただいた貴重品の返却は一切行っておりません』
「それは困る! 見ていただろ! あの薬がないと──」
『必要であれば、係員を向かわせますので処置をさせて頂ければと思いますが──…本来彼女にあの薬は必要ないでしょう?』
その言葉に、僕の肺が呼吸を止める。
なんで?
どうしてコイツがそんなことを知っている?
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