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『ほらほら、もう考えてる。 本来の君って、そこの彼女のことがなければ恐怖で思考が停止するようなそんな軟な精神構造じゃないし、今もその年の割に賢い石頭をフル回転させてありとあらゆる予測を立てているはずだ』
不愉快な機械音が勝手知ったるように僕を語る。
胸糞悪い。
こと、メンタル面の評価が何故か高評価な所に更に背筋が泡立つような悪寒と不快感に苛まれる。
「はっ、僕の事はなんでも知ってるって? じゃ、僕が今何を考えてるかなんてとっくに解るはずだよね? 当ててみろよ」
沈黙した監視カメラが、じっと見据えるように赤いランプをチカチカさせるとじりっとまた冷たいものが僕の背中を伝う。
『へぇ、また挑発かい? 懲りないなねぇ♪』
監視カメラは、機嫌良さそうに声を弾ませる。
正直、聞きたいことは山ほどあるし本来ならここは下手に出るべきだろうがここで奴らに媚びても正確な情報なんて与えられるとは考えにくい。
それに、この監視カメラの向こうの人物は考えるのもおぞましいけれど多分…いや、かなりの高確率で僕の事を面白いおもちゃ程度には気に入っているはずだ!
なら此処は、弱みを見せるべきではない。
こうやって、奴の好み合わせて少しでも会話を伸ばし情報を吐かせる方向にもってい______。
『ふふ、いいよ。 月島くんが知りたい事、可能な範囲で教えてあげても』
「え…?」
『その代わり、君の事がもっと知りたいな♪』
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