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「ぁあ、そうだ」
頭を抱えていたその人は、ミカに抱き付かれ立ち上がれない僕に目線を合わせるように地面に膝をつく。
「取りあえず、自己紹介。 僕は小橋川幸人常西高校の3年……君は?」
「ぁ、僕は月島友孝尚甲学園中等部2年です」
「尚甲学園? すごいな中高大一貫のエリート校じゃないか!」
「いえ、たいしたことは……」
「謙遜しないでよ、あの学校偏差値って──あ、今はそれどころじゃないか……それで、その……」
小橋川と名乗ったその人は、相変わらす僕の胸のあたりで顔を埋めぐすぐすと鼻をすするミカを見る。
「ぁあ、こっちは石川ミカ《いしかわみか》……しゃ、社会人です」
言葉を濁した僕の胸で『グジュ』っと、紹介が不服だとミカが顔を上げてむ~っと頬を膨らませた。
「それだけ? ミカはゆっぽんの彼女でしょ?」
「ちょ、彼女って、まだそんな事言ってんの!?」
「え、彼女って、中学生でそんな大人の人と? すごいな君……僕なんてまだ童貞なのに」
小橋川さんは、何故か尊敬の眼差しを僕に注ぐ。
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