『過去のあなたを誘拐しました』

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『過去のあなたを誘拐しました』

 ピロリロリン♪  上機嫌だった俺は、ろくに確認もせずに契約したばかりスマホの画面をタッチしてメールを開いた。  「ん?」  メールには只一行。  『過去のあなたを誘拐しました』  は?  迷惑メールか?  俺は、メールを削除する。  ピロリロリン♪  無視した。  今日は、事がうまくいって気分がいい。  こんな日に、下らない迷惑メールで気分をぶち壊しにしたくない。  缶ビールを飲みながら、俺は悦にはいる。  ピロリロリン♪   ピロリロリン♪  うるせぇな!  俺は、充電器からスマホを引き抜いて指で_____右手の人差し指で画面を_____。  触ることはできなかった。  目の前で起きた余りに突拍子もない事に、俺は息をのむ。  無い。  無くなっているのだ。  『俺の人差し指』が!!!  痛いみなどはなく、本当に忽然と根元からまるで始めからそこに指なんてなかったみたいに!  「ぁ はっ? なっ___!???」  そして、左手の手首から肘にかかてまるでナイフに切り付けられたような『古びた傷跡』が現れた!  『メールを見ろ』  ソレは、錯覚でなく間違いなくそう読める『文字』。  俺は震えながら、隣の『中指』でスマホの画面をタッチする。   
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