2人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 面白
「ねえ、ロリちゃん…私ね、この大きな赤いボタンを見ると、もの凄く悪い予感がするの…」
「何よ、悪い予感って?早くボタンを押して脱獄しましょうよ!」
「…前にさ、ロリちゃん日本人じゃないみたいな事、言ってたじゃない?その時、聞きそびれたけど…ロリちゃん、どこの国の人?」
「え?今、それなんか関係あるの?」
「イイから答えて!これはもの凄く大事な事なの!」
多奈華の鬼気迫る懇願に、ロリは仕方なく答えた。
「私…タイ人だけど?」
それを聞いた多奈華の顔は見る見る青ざめて行く。
そんな多奈華をよそに、ロリは自分でボタンを押そうと前に出る。
「多奈華ちゃんが押さないなら、私がボタンを…」
「ダメよロリちゃん!押しちゃダメ!そのボタンは…そのボタンは罠なのよ!」
「何を言ってるの?何でこのボタンが罠だって分かるのよ?押してみなくちゃ分からないじゃない!」
「押さなくても分かるの!私には分かるのよ!そのボタンを押したら、どれだけ酷い惨劇が待ち受けているのかを!」
「あのね、多奈華ちゃんは押さなくてイイから。私が押すんだからそんなに心配しなくていいんだよ?」
「違うのよ!そうじゃないの!誰が押しても一緒なの!そのボタンを押したら、どこからともなく音声が流れてくるのよ!多奈華(タナカ)ァタイキック~ってね!!」
「いや、何よそれ?あり得ないでしょ、そんなの?確かに私はタイ人でムエタイの経験者だけど…」
「ほらっ!やっぱり罠じゃない!このボタンを押したら音声が流れて、ロリちゃんは私に容赦無くタイキックを浴びせて、ドッカンドッカン笑いが起きるのよ!」
「ゴメン、多奈華ちゃん。本当に意味が分からないんだけど?なんで私が多奈華ちゃんにタイキックを容赦無く浴びせなくちゃいけないの?確かにそんな事が万が一にでも起きたら、とても面白いかも知れないけど…」
「面白く無いわよ!全然面白く無いわよ!なんで私がそんな痛い目にあわなくちゃならないのよ!絶対に押しちゃダメよ、そのボタンは!」
「そんな事を言ってもこのボタンを押さなきゃ脱獄は出来ないし…」
最初のコメントを投稿しよう!