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第4話 開門
ロリは少し思案するが、申し訳なさそうにこう続ける。
「ねえ、多奈華ちゃん…タイキック一発ぐらいだったら、何とか我慢出来るでしょ?」
「え?何よそれ??なんで私がタイキックを受けることを前提に話を進めようとしてるのよ!ここは普通、音声が流れてもタイキックはしないって流れなんじゃないの??」
「そうは言ってもドッカンドッカン、笑いを取るならタイキックは必要不可欠だし…」
「だから脱獄に笑いは必要無いでしょうが!タイキックする気があるなら絶対に押しちゃダメよ!ダメ!ダメ!絶対にダメ!!」
多奈華の凄まじい剣幕に、流石のロリも仕方なく折れた。
例え音声が流れてもタイキックは無しと決めて、二人でボタンを押すことに。
「じゃあ押すわよ、ロリちゃん」
「ええ、用意はイイわよ。勿論、タイキックをしない手筈のね!」
そう言うとロリはチラリと自分の足元を見た。
ロリの両足は万が一に備えて、脱出用のロープでグルグル巻きになっていた。これで音声が流れてもタイキックは発動しない筈。
準備が完了したところで二人は恐る恐るボタンに手をかけ、お互いに目で合図を送ると小さく頷き同時にボタンを押した。
ボタンを押すと身構える多奈華。しかし、予想に反して音声は流れなかった。
代わりに目の前の重厚な扉が音をたてて開き始めた。
安堵する多奈華。しかし、それが間違いだった。
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