1. メンバー紹介(in the CLUB ROOM)

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「どきな」  奈緒がギターを構えた。 「どきませぇ~ん。チケットみせてくださ~い」  売り子が抵抗する。  流れ作業の疲れからか、その滑舌には覇気がない。  正直かったるいけど最低限の仕事はこなしたい――チケット売りのわずかなプライドだけが、売り子の身体を動かしていた。  しかし、ライブチケットの提示など、殴り込みに来た三人に対しては意味のない催促である。 「天国行きのチケットならあるけど、どうする?」  奈緒のうしろでレイが提案する。 「天国……?」  売り子の思考が止まる。  売り子は前々から、フリーダムな世界に憧れを抱いていた。  それがいけないことだとは、頭でわかっていながらも。 「ふぅん、なるほどね」  左手でギターのネックをつかむ奈緒。 「あたしがあんたに自由をあげるわ」  その右腕をだらりと下ろし、 「でもこれは、ただの権利。選択するのはあんただよ」  手前に引いた。
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