1. メンバー紹介(in the CLUB ROOM)

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「…………」  なにか思い残すことがあったのか――  売り子のくたびれたポケットからは、半額シールのついた一個のおにぎりが、涙のように零れ落ちた。 「おっ」  グレンGがためらいなくそれを拾う。 「やめなさい。盗みはロックじゃないよ」  レイが警告する。  しかし次の瞬間。  グレンGは、そのオニギリをビニールごと噛みちぎった。 「それはおまえのロックだろ? おれにはおれのロックがある。自分のロックを他人におしつけるのが、おまえのロックなのか?」  少し考えたあと、レイは足を進めた。 「それもそうね。ゴメンアソバセ」  安らかに眠る売り子を横切り、奈緒も後に続く。 「……じゃあね」  かくして三人は、『イヌゴヤーン』へと会場入りを果たした。  奈緒がギターを肩に下げる。 「行き場をなくしたケモノたちのニオイがするわ」  レイがベースを胸に抱く。 「アタシたちの音楽が、アロマの代わりになるかもね」  グレンGがオニギリを噛みしめる。 「さっさとおっぱじめようぜ。この米の甘味が消えねぇうちにな」  嵐の夜が、はじまった。 『KAMASE-DOGMANS』  ジャンル:パンクロック  罪状:???
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