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以上三名。
ギターと、ベースと、ドラムの三人編成。
ボーカルはいない。
ボーカルはいらない。
彼女たちの音楽に、歌声は必要ない。
言葉など、その轟音の中では意味をなさないからだ。
彼女たちの奏でる《刑音楽》とは、楽器の振動を介して拝聴者の耳穴へと侵入し、その魂をここではないどこかへと運ぶ橋渡し的な音楽ジャンル――つまり、ロックンロールである。
これを用いて、彼女たちが伝えたいメッセージは、ただひとつ――
「あたしらは、世の中をこわしたいだけなの」
奈緒は多くを語らない。
奈緒のこの発言は、自分以外のすべての音楽に対する宣戦布告としてとらえてしまってかまわない。
断言しておこう。現代の日本においてロックというジャンルは流行らない。
それでも彼女たちは、ロックでこの世の中を変えようとしている。
つまりこの物語は、ロックをこよなく愛する彼女たちが現代の生ぬるい音楽シーンに制裁を与えるべく演奏する過程を描いた壮絶な戦いの記録である。
もう一度言おう。ロッカーは多くを語らない。
ゆえに、この物語はやや伝わりづらいのかもしれない。
……少し語りすぎてしまったようだ。
最後にひとつだけ、「本編は次のページから始まる」。
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