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「そんなキャラ付けするから苦労すんだよ――わぷっ!」
飛んできた枕を顔面に受けた少年は、放り投げた枕の勢いくらいにはムッとした表情の少女に睨みつけられる。
怒っているというよりは、拗ねているような。
「キャラとかじゃないもん!」
生徒会長のときよりも、随分と子供っぽい言葉遣いで。
「……頑張ろうって、思ってる、だけだもん…」
消え入るような、小さな呟きを。
「知ってるよ」
勤めて何でもない事のように、いつもと同じに、少年は言う。
僅かな沈黙。少年はわざとらしく、ああそうだ、なんて口にする。
「お前さ、駅前の…ほら、なんとかってアイス屋、行きたがってたじゃん。できたばっかの。もう行ったのか?」
少しだけきょとんとして、しかし少女は唇を尖らせる。瞳の奥には期待に似た感情を宿らせて。
「行ってる暇無いし…」
「行こうぜ。明日」
「あそこ6時にはしまうし…間に合わないし…」
だからさ、と少年は頭を掻く。
「2人でやれば、間に合うかもだろ?」
間に合わなくてもいいや、という言葉を、少女は秘密にしておいた。
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