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「お前さ、いつまでも男がいないから、こういう事が起こるんだよ」
だからさ、と少年は続ける。ひどく、そう、ひどく長く間の抜けた沈黙を経て。
「だから、俺と付き合え。そうすりゃこんなトラブルもなくなるって」
少女は、少年にはいつだってわがままだった。
聞き分けのない子供だった。
だから、こんな言葉を漏らしてしまう。
「……やだ」
じとっとした目で、少女は少年を見つめる。どこか拗ねたような目で。
「…そんな理由じゃ、やだもん」
はあ、という少年のため息。
だからさ、うん、あのな、うん、要するにさ、うん、ええとな、うん――
そんなやり取りを、呆れるくらい繰り返して、
「お前が好きだ」
「…あたしもっ!」
お互い、思わず笑いながら言ってしまったそんな言葉で、オチになった。
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