真夏の偶像

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短パンとランニングシャツ。 頭には麦わら帽子。 袈裟に懸けた虫かごと、右手には虫取り網。 この時代にまだ絶滅していなかったのか、と言いたくなるような 昭和の少年の夏休みの出で立ち。 ジリジリと照りつける真夏の太陽の中、 麦畑のあぜ道で足を止めた私は彼と対峙した。 知り合ったばかりのその少年は 真っ直ぐな視線を私へ送る。 そして、大きく口を開き 「虫取りに行こう!」 と私を誘ってきた。
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