8年目+2週間

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「な、なんって勝手なの?! ほんと私が怒鳴り込みに行ってやろうか? 由布、なんで怒らないのよッ。 毎日毎日、由布だって働いているのに、 家事は全部やらせておいて。 掃除、洗濯、料理、箸すら洗わない男が、 よくそんな偉そうなこと言えたわね??」 ここは街角のコーヒーショップ。 ここにいる佳純は中学時代からの親友だ。 治人との馴れ初めも、そして別れも、 これですべて知っていることになる。 治人の言葉を信じ、素直に部屋を出た。 そう、丸ごと信じていたのに。 後日、知ってしまうのだ。 …彼に新しい彼女がいたことを。 >ヤメろよ、髪を茶色く染めるのとか。 >遊んでる感じで俺、絶対にイヤだから。 >チャラチャラした服は、みっともない。 >もっときちんとした格好しとけよ。 >ヒール靴は俺が低く見えるから履くな。 言われた通りにして、生きて来た。 最後には、この人と一緒になるからと。 他の男性に媚びを売る必要はないからと。 …それが。 同棲していた部屋を出て、 姉夫婦のマンションに身を寄せ。 その姉と一緒に買い物に出掛け、 偶然見てしまったのだ。 茶色い髪をふわふわ揺らし、 今どきの服を着てヒール靴を履いたコと、 仲良く腕を組む治人の姿を。
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