8年目+1カ月+3週間

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帰宅し涼介さんにコトの顛末を伝えると、 ほろ酔いの彼は、笑いながら言う。 「あの2人くっついたり別れたりしてて。 なんだかんだ言って、お似合いなんだよ」 「そ、そうなんだ?」 涼介さんの説明によると、 チカさんは、自分を没個性だと思い込み、 非凡なものにとても惹かれるのだと。 「あんなに完璧なルックスと、 素晴らしい家柄を背景に持っているのに、 『没個性』ですって?!」 「そう、ヘンな奴だろう? 自分は苦労知らずで、 俺みたく女遊びも極めていないとかって。 『このままだと自分は、 深みの無い、薄っぺらな人間になるかも』 って、一時期騒いでさ。 で、敢えて危険とか苦労に飛び込んでく。 その象徴が元カノの瑞姫なワケだよ。 俺、思うんだけどさ、 アイツ絶対にマゾだね」 は、はあ。 それは否定しませんけど。 「じゃ放っておくと、いつか私と別れて、 次なる試練に飛び込んで行くってこと?」 「ん~、どうだろう。 幸い今、めっちゃ仕事がハードらしいし。 せめて恋愛はラクしたいんじゃないか? 由布とは、このまま付き合っていくだろ」 涼介さんの言葉通り、 チカさんとの仲は怖いくらい順調で。 そのままずっと続いていくかに思えた。 そう、ずっとずっと…。
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