224人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
帰宅し涼介さんにコトの顛末を伝えると、
ほろ酔いの彼は、笑いながら言う。
「あの2人くっついたり別れたりしてて。
なんだかんだ言って、お似合いなんだよ」
「そ、そうなんだ?」
涼介さんの説明によると、
チカさんは、自分を没個性だと思い込み、
非凡なものにとても惹かれるのだと。
「あんなに完璧なルックスと、
素晴らしい家柄を背景に持っているのに、
『没個性』ですって?!」
「そう、ヘンな奴だろう?
自分は苦労知らずで、
俺みたく女遊びも極めていないとかって。
『このままだと自分は、
深みの無い、薄っぺらな人間になるかも』
って、一時期騒いでさ。
で、敢えて危険とか苦労に飛び込んでく。
その象徴が元カノの瑞姫なワケだよ。
俺、思うんだけどさ、
アイツ絶対にマゾだね」
は、はあ。
それは否定しませんけど。
「じゃ放っておくと、いつか私と別れて、
次なる試練に飛び込んで行くってこと?」
「ん~、どうだろう。
幸い今、めっちゃ仕事がハードらしいし。
せめて恋愛はラクしたいんじゃないか?
由布とは、このまま付き合っていくだろ」
涼介さんの言葉通り、
チカさんとの仲は怖いくらい順調で。
そのままずっと続いていくかに思えた。
そう、ずっとずっと…。
最初のコメントを投稿しよう!