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……
それから。
結局、チカさんからの連絡は無くて。
涼介さんも電話でドタキャンしたため、
ガーターベルトがセクシーな受付嬢から、
罵詈雑言を浴びせられた挙句、絶縁され。
仲良く2人でマンションに戻り、
冷凍餃子を焼いて食べた。
明日も仕事なのに、ニンニク臭くなるね、
という話から、ふとあのキスを思い出し、
私の頬が赤く染まる。
ビールでほろ酔いの涼介さんは、
酔っていても勘が鋭いらしく、
何かを察して、こう牽制してきた。
「なんだよキスくらいで意識すんなよな。
単なる粘膜接触なんだから」
「またそんな、身もフタも無い…」
「キスなんか簡単なんだよ。
ただ、近づけば出来るんだから」
「でも、でもだよ。
高校のときの先生が言ってたんだ。
『皮膚はカラダを守るために有る』って」
…そう。
だから逆に、皮膚で守られない唇は、
ウィルスや細菌なんかに感染しやすいの。
キスをするのも命がけ、なんだからね。
「それってセックスもってことだろ?」
「うぐッ。違っ私は今、キスのことを…」
気まずい沈黙が続き、涼介さんは言った。
「了解、そんなにゴチャゴチャ言うなら、
由布には金輪際、気軽にキスしない。
それでいいだろ?」
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