8年目+1カ月+3週間

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しかし、次の治人の言葉でまた乱される。 「『彼氏のフリ』? なんでそんなことする必要あんの? ってかさ、すごい濃厚なキスしてたよね、 あんときの男と。 フリであんなの、普通しないと思うけど」 …ど、どうしよう。 だって涼介さん、普通じゃないもん。 先週だって2人もお持ち帰りしたって、 ただれた性生活を私に自慢してたよ? 「…そっか。まあ涼介だから仕方ないな」 う、あ、ええっ!? チカさんもそこで納得するの?? 驚いていると、更に彼は淡々と言う。 「ごめん俺、明日から1週間ほど出張で。 バタバタするから今日しか時間無くて。 なんとか時間、くれないかな?」 仕方なく治人にそのまま告げる。 貴方と私はどうせ同じ社内にいるし、 時間さえ合えば、いつでも会えるよねと。 「ごめん、そんなワケでまた日を改めて。 予約までさせたのに、悪いけど」 「由布が、俺を後まわしにするなんてな。 付き合ってた頃は最優先だったのに」 うん、そうだったよ。 でも、貴方の最優先は私じゃなかった。 でも、そんなこと、もうどうでもイイの。 「分かった、また別の日で。 電話するから出てくれよ?じゃあな」 「あ、うん。本当にごめんね」 手を振って、私はチカさんと歩き出す。
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