8年目+1カ月+3週間

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「疑問に答えてあげる」 「…は?」 首をくるりと回したあと、 チカさんは驚きの表情を浮かべた。 「帰国直後に優介の美容院へ行ったの。 前髪だけ切ってもらいたくて。 そしたら、優介が言ったワケ。 『チカに新しい彼女が出来て、 自分がそのコを紹介した』って。 信じられなくて、もう。 思いっきり顔を殴ってやったわよ。 …だって、別れてないもの私たち」 たぶん外国の血が混ざってるんだろうな。 透き通るように白い肌、琥珀色の瞳。 髪もブルネットに近い色をしている。 こんなに脚が長いと、邪魔だよね。 と思わせるほどの素晴らしいスタイルで。 「俺はあのとき別れたつもりなんだけど。 てかさ、言った言わないの問題じゃなく、 …もう無理なんだ。 瑞姫といると正直、疲れる。 俺、もう続けていく自信が無いんだ」 ボカッ、と凄い音がした。 見ると、チカさんの背中を元カノが、 思いきりグーで殴っていて。 「ひどい!ひどい!ひどい!!」 「いいよ。好きなだけ殴れ。 前みたいに骨折させられても、 俺の気持ちは変わらない」 前に、骨折させられた…?? あ、おおっ。 とうとう蹴りに変わった。 チカさんの向う脛を集中して狙っており、 これは相当効いているみたいだ。
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