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…と、手の上に乗せられたのは、
小さな小さな天使のオーナメント。
「うわあ、可愛い。何これ?」
「少し前にドイツで買ったんだ。
ストローオーナメントと呼ばれてて、
麦わらを編んで作られているんだよ」
くう。
私が笑うと、ユウ君も笑う。
なんだ、この溺愛されてる感じ。
しかも、高校時代からずっと私に惚れてるって、
私、もう神話化されてるレベルじゃない?
この人を好きになったら、
きっと幸せになれるんだろうな。
そんなことを思いながら、ジーッと見つめた。
先のことなんて誰にも分らない。
恋になるかならないか。
リトマス試験紙みたいに、
すぐに調べられればいいけど、
残念ながら、そんなモノは無い。
ただ、私の喜ぶ顔を見て、
幸せそうにしてくれるのは、すごく嬉しくて。
しばらく会ってみてもいいかな、と思った。
「な、なに?由布ちゃん。そんなジロジロ見て」
「へへ、何でもない」
だって、『由布ちゃん』って呼ぶたび、
アナタの口角がキュッと上がるの。
ねえ、自分でも気づいてる?
「由布ちゃん、来週の土曜さ、
アートアクアリウムに行かない?」
「あ、いいねぇ。行ってみたい」
ニコニコと、それは嬉しそうに微笑む。
…こうして私とユウ君は、
頻繁に会うようになったのだ。
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