8年目+3カ月+2週間

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「へ?」 「だから、下心あるに決まってるでしょ」 ランチタイム。 久々に外食し、会社近くのカフェでもりもりと ゴルゴンゾーラのニョッキを食べていた。 明日は委員長ことユウ君と会う予定で。 彼がイタリアに添乗で行っているから、 ついイタリアンが食べたくなるワケだが。 そう話したら、芹香ちゃんがこう言う。 「早いねえ。もう次の恋のフラグかあ」 「ないない。ユウ君とは全然そんなじゃ無いよ」 それを聞き、芹香ちゃんが呆れたように笑い、 昨晩一緒に飲みに行った、『第三の男』こと、 西村さん情報だと前置きしてこう続けたのだ。 「由布ちゃんって、高校時代、 マドンナ的存在だったんだってよ?」 「は?…そ、そんなご冗談を」 「西村さんが教えてくれたんだもん。 あ、彼はもちろん遠藤さんから聞いたんだって。 由布ちゃんにはさ、ファンクラブがあって、 抜け駆け禁止って掟が存在したらしいの」 「う、うう、うそ、またまた~」 「ほんとほんと。牽制し合ってるうちにさ、 ファンクラブとは無関係な大木がいきなり登場。 で、そいつと由布ちゃんが付き合い出したって、 当時は大騒ぎだったんだってよ」 「…な、何もかも、初耳なんですけど」 まだまだ芹香ちゃんの話は続く。 独占欲の固まりだった治人が、 人目につかぬようにと、私に地味な姿を求め。 結果、どんどん輝きを失っていくのを、 ユウ君は歯がゆい気持ちで見ていたのだと。 「遠藤さんはファンクラブに属さなかったけど、 由布ちゃんのことはずっと好きで。 それが久々に再会したら、大木と別れてて、 しかも昔の輝きを取り戻してたもんだからさ。 なりふり構わずアタック開始したんだって」
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