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「へ?」
「だから、下心あるに決まってるでしょ」
ランチタイム。
久々に外食し、会社近くのカフェでもりもりと
ゴルゴンゾーラのニョッキを食べていた。
明日は委員長ことユウ君と会う予定で。
彼がイタリアに添乗で行っているから、
ついイタリアンが食べたくなるワケだが。
そう話したら、芹香ちゃんがこう言う。
「早いねえ。もう次の恋のフラグかあ」
「ないない。ユウ君とは全然そんなじゃ無いよ」
それを聞き、芹香ちゃんが呆れたように笑い、
昨晩一緒に飲みに行った、『第三の男』こと、
西村さん情報だと前置きしてこう続けたのだ。
「由布ちゃんって、高校時代、
マドンナ的存在だったんだってよ?」
「は?…そ、そんなご冗談を」
「西村さんが教えてくれたんだもん。
あ、彼はもちろん遠藤さんから聞いたんだって。
由布ちゃんにはさ、ファンクラブがあって、
抜け駆け禁止って掟が存在したらしいの」
「う、うう、うそ、またまた~」
「ほんとほんと。牽制し合ってるうちにさ、
ファンクラブとは無関係な大木がいきなり登場。
で、そいつと由布ちゃんが付き合い出したって、
当時は大騒ぎだったんだってよ」
「…な、何もかも、初耳なんですけど」
まだまだ芹香ちゃんの話は続く。
独占欲の固まりだった治人が、
人目につかぬようにと、私に地味な姿を求め。
結果、どんどん輝きを失っていくのを、
ユウ君は歯がゆい気持ちで見ていたのだと。
「遠藤さんはファンクラブに属さなかったけど、
由布ちゃんのことはずっと好きで。
それが久々に再会したら、大木と別れてて、
しかも昔の輝きを取り戻してたもんだからさ。
なりふり構わずアタック開始したんだって」
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