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ここまで聞いても、まだ信じられなくて。
「モデルルーム巡りも、イタリア土産も。
全部全部、計算づくってこと?」
「みたいよ。まあ、イイじゃない。
彼、早くに父親亡くして母子家庭で育ったから、
メチャクチャ女性に優しいんだってさ」
……
翌日。
そんな前情報を有り難く頂戴し、
久々に会ったユウ君は、別人のように思えて。
「はい、これお土産。
免税店で購入した口紅と、マニキュアなんだ。
気に入らなかったら、周囲の人にあげて」
それは某ブランドの商品で、
怖いほど私好みの色だった。
「うわあ、すごく素敵な色。
絶対、他の人になんかあげないよ。
自分で使う。やったあ、有難う~」
あ、ユウ君とっても嬉しそう。
半信半疑だったけど、
この人、本当に私のこと好きなのかも…。
不思議なもので。
相手が自分に好意を持っていると知り、
上位に立った気分になってしまうのは、
やはり私が不出来な人間だからだろうか。
こうして食事していても、
ふとしたときに、ユウ君は私を見ていて。
…それは幸せそうに微笑む。
な、なんだこの状況は。
愛され過ぎてて、正直怖い。
「あ、それとコレもおまけ」
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