8年目+3カ月+2週間

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…と、手の上に乗せられたのは、 小さな小さな天使のオーナメント。 「うわあ、可愛い。何これ?」 「少し前にドイツで買ったんだ。 ストローオーナメントと呼ばれてて、 麦わらを編んで作られているんだよ」 くう。 私が笑うと、ユウ君も笑う。 なんだ、この溺愛されてる感じ。 しかも、高校時代からずっと私に惚れてるって、 私、もう神話化されてるレベルじゃない? この人を好きになったら、 きっと幸せになれるんだろうな。 そんなことを思いながら、ジーッと見つめた。 先のことなんて誰にも分らない。 恋になるかならないか。 リトマス試験紙みたいに、 すぐに調べられればいいけど、 残念ながら、そんなモノは無い。 ただ、私の喜ぶ顔を見て、 幸せそうにしてくれるのは、すごく嬉しくて。 しばらく会ってみてもいいかな、と思った。 「な、なに?由布ちゃん。そんなジロジロ見て」 「へへ、何でもない」 だって、『由布ちゃん』って呼ぶたび、 アナタの口角がキュッと上がるの。 ねえ、自分でも気づいてる? 「由布ちゃん、来週の土曜さ、 アートアクアリウムに行かない?」 「あ、いいねぇ。行ってみたい」 ニコニコと、それは嬉しそうに微笑む。 …こうして私とユウ君は、 頻繁に会うようになったのだ。
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