8年目+7カ月

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あまりにもよく会うので、彼も恐縮し、 「信じて欲しいんだけど、 俺、ストーカーとかじゃないから。 ほんと偶然なんだからね。 そうだ安心して! 来週は添乗で1日しか来れないから」 その言葉に、思わず笑ってしまった。 「確かに会い過ぎだよね、私たち」 「いやいや。混雑を避けるため、 不人気な時間帯を選んでるだけだろ? 俺もそうだからさ」 その帰り、車で来たユウ君が、 送ってくれると言う。 一度は断ったが、 『どうせ通り道だから』と譲ってもらえず、 渋々助手席に腰を下ろす。 徒歩20分程度の距離なので、 車では5分くらいだろうか。 あっという間にマンション前に到着し、 車を降りると、なぜかユウ君も降りて来る。 「あのさ。もう彼女になってとか言わないから、 友だちとして、また付き合ってくれないかな?」 すぐに断らなきゃいけないのに、 なんだかその必死さが、可哀想になって。 思わず、少しだけ間を空けてしまう。 …すると、 背後から誰かの手が伸びて来て、 私の肩をグイッと引っ張った。 「ダメに決まってるだろ!」 慌てて振り返ると、スーツ姿の涼介さんで。 不必要なまでに私と密着し、 眉間にシワを寄せてまた口を開く。 「由布は俺のなんだから、お前には貸せない」
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