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あまりにもよく会うので、彼も恐縮し、
「信じて欲しいんだけど、
俺、ストーカーとかじゃないから。
ほんと偶然なんだからね。
そうだ安心して!
来週は添乗で1日しか来れないから」
その言葉に、思わず笑ってしまった。
「確かに会い過ぎだよね、私たち」
「いやいや。混雑を避けるため、
不人気な時間帯を選んでるだけだろ?
俺もそうだからさ」
その帰り、車で来たユウ君が、
送ってくれると言う。
一度は断ったが、
『どうせ通り道だから』と譲ってもらえず、
渋々助手席に腰を下ろす。
徒歩20分程度の距離なので、
車では5分くらいだろうか。
あっという間にマンション前に到着し、
車を降りると、なぜかユウ君も降りて来る。
「あのさ。もう彼女になってとか言わないから、
友だちとして、また付き合ってくれないかな?」
すぐに断らなきゃいけないのに、
なんだかその必死さが、可哀想になって。
思わず、少しだけ間を空けてしまう。
…すると、
背後から誰かの手が伸びて来て、
私の肩をグイッと引っ張った。
「ダメに決まってるだろ!」
慌てて振り返ると、スーツ姿の涼介さんで。
不必要なまでに私と密着し、
眉間にシワを寄せてまた口を開く。
「由布は俺のなんだから、お前には貸せない」
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