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うん、分かるよ、その気持ち。
振り向かせたいって、好きになって欲しいって、
ずっとそればかり考えてしまうんだよね。
なのに相手は、何とも思っていなくて。
もうあと一歩で手に入りそうで、
実はそれが、まったく遠いことに気付くの。
幸せな恋愛なんか、どこにも無い。
好きになればなるほど、
同じ量の苦しみが増えるだけ。
「もう、由布ちゃんの前に姿は見せないよ。
でもゴメン。…たぶんずっと好きだと思う。
仕方ないんだ。
自分でもどうにも出来なくて。
由布ちゃんのことを考えるだけで、
幸せな気分になるんだよ。
だから俺が、キミを幸せにしたかったのに。
俺からの最後のお願い。
絶対に幸せになってくれ。
そうでなきゃ、また攫いに来るから」
…ねえ、ユウ君。
そのお願いは、難しいかも。
心の中で呟き、去って行く車に手を振る。
背後では涼介さんが唸っていて、
部屋に戻ってからも、
怒りは収まらないようだった。
「ああ、もう何なのアイツ!
普通さ、彼氏だって言ってる男の前で、
あんな堂々と口説くか?!
由布も、もっとハッキリ断れよ。
なんで俺のこと伝えなかったんだよ」
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