8年目+7カ月+1週間

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「ええっ、無いですよ、そんなの」 …美容院でカラーリングをしてもらっていて。 ペタペタとカラー剤を塗りながら、 優介さんが訊いてきた。 「もうあと1カ月半後にはクリスマスだね~。 混み合うと思うからさ、早めに予約入れとく?」 「…えと、何でですか?」 私の返事に、呆れたように彼は言う。 「だってほら、豪華ディナー食べに行ったり、 イブだもん、なんか予定あるでしょ? それ用にヘアスタイルもバッチリにしなくちゃ」 そんな予定ありませんよ、と答えると、 優介さんから申し訳なさそうに謝られ。 そこから緩やかに、 チカさんと瑞姫さんの復縁話へと移り。 私とチカさんがダメになったのは、 自分のせいだとこれまた謝られ。 気まずくなった空気を誤魔化すため、 なぜか涼介さんの話題へとすり替わる。 「アイツさ、バカだから去年のイブなんか 2人の女と時間差で食事してやんの。 基本、『来る者拒まず』だからさ~。 まあ相手も薄々、気付いてて、 マジ恋愛じゃないんだろうけど。 取り敢えず、イブに誰かと過ごせれば、 って感じじゃないのかな? ひとりで家飲みとか、寂しいもんね」 わ、私そのつもりでしたけど。 DVD借りて、呑気にワインでも飲もうかと。 そ、それって寂しいんだ…。 でも去年はまだ治人と一緒に住んでたけど、 彼は飲み会だからと帰って来なくて、 私は1人でケンタッキーを頬張ってですね…。
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