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「ええっ、無いですよ、そんなの」
…美容院でカラーリングをしてもらっていて。
ペタペタとカラー剤を塗りながら、
優介さんが訊いてきた。
「もうあと1カ月半後にはクリスマスだね~。
混み合うと思うからさ、早めに予約入れとく?」
「…えと、何でですか?」
私の返事に、呆れたように彼は言う。
「だってほら、豪華ディナー食べに行ったり、
イブだもん、なんか予定あるでしょ?
それ用にヘアスタイルもバッチリにしなくちゃ」
そんな予定ありませんよ、と答えると、
優介さんから申し訳なさそうに謝られ。
そこから緩やかに、
チカさんと瑞姫さんの復縁話へと移り。
私とチカさんがダメになったのは、
自分のせいだとこれまた謝られ。
気まずくなった空気を誤魔化すため、
なぜか涼介さんの話題へとすり替わる。
「アイツさ、バカだから去年のイブなんか
2人の女と時間差で食事してやんの。
基本、『来る者拒まず』だからさ~。
まあ相手も薄々、気付いてて、
マジ恋愛じゃないんだろうけど。
取り敢えず、イブに誰かと過ごせれば、
って感じじゃないのかな?
ひとりで家飲みとか、寂しいもんね」
わ、私そのつもりでしたけど。
DVD借りて、呑気にワインでも飲もうかと。
そ、それって寂しいんだ…。
でも去年はまだ治人と一緒に住んでたけど、
彼は飲み会だからと帰って来なくて、
私は1人でケンタッキーを頬張ってですね…。
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