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「…顔と名前を覚えるため、
取り敢えずお酌して回るとイイよ」
歓迎会開始から、2時間以上経過。
もう『お開き』と言われてもおかしくないのに、
やわやわと間島課長が隣にやって来て、
私にそう言った。
「え、あ、はいッ。行って来ます」
石橋さんは、『急用が出来た』と帰っており、
要注意人物が1人減っていることだけが救いだ。
経理部には『お酌制度』なんか無かったけど、
やっぱり営業部は違うんだな。
とかなんとか心の中で呟き、
テーブルの端から順にお酌して回る。
6人用のテーブルが4つ並んでいて、
私は一番奥の席にいた。
だから、それ以外のテーブルの方々とは、
一切交流しておらず。
でも、今日は私のための会で。
皆様の厚意で会費も免除されているから、
お礼がてら挨拶して回るのは、
当然と言えば当然なワケで。
ええ、ええ。そう思い、真面目に挑んだのに。
「…挨拶なんかイイからさ、俺の膝に座ってよ」
「嫌です。座ると、私の体重がバレそうなので」
「なあ、オレの飲んだグラスで返杯して~。
ここに口つけてよ。きゃ…間接キッス、ぐふふ」
「他人と同じ食器で飲食すると、
虫歯菌が伝染りますので、丁重にお断りします」
こ、これは。何のプレイなのだろうか??
どの人も皆、驚きの軟派っぷりで。
老いも若きも、まんべんなくこの調子だなんて。
どこに行っても、エロトーク全開。
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