0+1カ月

18/26
前へ
/26ページ
次へ
「…顔と名前を覚えるため、 取り敢えずお酌して回るとイイよ」 歓迎会開始から、2時間以上経過。 もう『お開き』と言われてもおかしくないのに、 やわやわと間島課長が隣にやって来て、 私にそう言った。 「え、あ、はいッ。行って来ます」 石橋さんは、『急用が出来た』と帰っており、 要注意人物が1人減っていることだけが救いだ。 経理部には『お酌制度』なんか無かったけど、 やっぱり営業部は違うんだな。 とかなんとか心の中で呟き、 テーブルの端から順にお酌して回る。 6人用のテーブルが4つ並んでいて、 私は一番奥の席にいた。 だから、それ以外のテーブルの方々とは、 一切交流しておらず。 でも、今日は私のための会で。 皆様の厚意で会費も免除されているから、 お礼がてら挨拶して回るのは、 当然と言えば当然なワケで。 ええ、ええ。そう思い、真面目に挑んだのに。 「…挨拶なんかイイからさ、俺の膝に座ってよ」 「嫌です。座ると、私の体重がバレそうなので」 「なあ、オレの飲んだグラスで返杯して~。 ここに口つけてよ。きゃ…間接キッス、ぐふふ」 「他人と同じ食器で飲食すると、 虫歯菌が伝染りますので、丁重にお断りします」 こ、これは。何のプレイなのだろうか?? どの人も皆、驚きの軟派っぷりで。 老いも若きも、まんべんなくこの調子だなんて。 どこに行っても、エロトーク全開。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

221人が本棚に入れています
本棚に追加