0+1カ月

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正直者! 嫌いじゃないけど、時と場合に寄るし。 「帰ります」 「ちょ、待ってって。 あのさ、俺とヤッたってことにしとけば、 他の奴らには狙われないから」 は? この人はいったい、何を言っているのか? 「知ってると思うけど、 もうウチの部署、仕事以外はクソで。 標的の女を決めて、賭けの対象にしたり、 何人の女を落としたか競ったり。 最初は可愛いモンだったんだよ。 お茶するだけとかさ。 それがどんどんエスカレートして。 止まらないんだ。もう、誰にも止められない。 稲井田さん、今日からキミがターゲット決定で。 それを避けるには、取り敢えず、 俺とヤッたということにしておけば…」 私は、激しく混乱していた。 森田さんは善人なのか、悪人なのか。 それを判断出来るほど、 この人を知っているワケでもなく。 パチクリと瞬きを繰り返していると、 彼はまた重ねて言う。 「俺のこと、簡単には信じられないと思うけど、 取り敢えずこのままだと稲井田さんは危ない。 だから、ね? 俺と一緒に飲みに行って、ヤッたことにすれば、 それで万事解決するから」 「…それ、本当?なんか怪しいなあ」 突然、第三者の声が聞こえて来て。 振り返るとそこに、…涼介さんが立っていた。
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