0+1カ月

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なぜココに? そう問うまでもなく、涼介さんは答える。 「チカから電話もらった。 由布がこの店にいるって。 んで、なんか意地悪な女に虐められてるって。 俺もこの近くで会社の同僚と飲んでてさ。 一緒に帰ろうかなと思ったのに、 由布、電話しても出てくれないし。 店員に事情伝えて、店内も探してみたけど、 姿見えないから、トイレして帰ろっかなって…」 YESッ!もう、ナイスタイミング! 犬のごとく尻尾を振り、涼介さんに駆け寄る私。 すると、彼が森田さんに向かって言った。 「もう少し話を聞かせて。怪しい気もするけど、 なんかアンタ、俺と同じ匂いがするんだよな」 コクコクと頷く森田さんを見て、 なんとなく信じても良い気がした。 なぜなら彼氏が登場したというのに、 逃げようとすらしないのだ。 この人は善人に違いない。 そんなワケで、私と森田さんが先に店を出て、 少し離れて後ろから涼介さんがついて来る。 向かった先は、洒落たショットバーで、 個室らしきところに案内された。 「…取り敢えずツーショットで画像撮らせて。 それを本多さんと石引さんに送信するから」 カシャリ、とスマホで撮影し、 それを手慣れた感じで操作したかと思うと、 森田さんはホッとした表情でドリンクメニュー を私たちに見せてくれる。 「ごめんね。俺が止められればイイんだけど。 なんせあの2人の後輩なもんでさ。 今のところ、こんな方法しか取れないんだよ」
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