再び0+1カ月+2週間

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「よーし、よーし」 それからしばらくの間ずっと、 興奮した犬を窘めるみたいにして、 繰り返し私の頭を撫でている。 「あの、涼介さん??」 「…ん」 すう、はあ…って私の匂いを吸い込んで。 愛おしそうに見つめ、また抱き締めて。 「え…と、どうなってるの?」 「その前にお礼言わせて。 俺、信じてたけど、少し不安だったんだ。 もしかして、元カレにフラつくかもって。 酒なんか飲んで、昔話なんかされたら、 誰だってグラッとくるからさ。 もしそうなっても、1回は許そうって。 いや、由布が元カレとヤッちゃう前に、 俺が奪い返すつもりだったんだけどな。 でも、心の浮気は1回だけ許そうって…」 えっと。 この口ぶりだと、最初からいたってこと? で、私が浮気するかどうか見ていたと?? 「ああ、もうどうしよう。 俺、すごく嬉しい! 由布、最後まで必死で断ってて。 しかも、ここにいるはずのない、 俺の名前まで呼んでたんだぜ? もう、萌え萌えだよ。 可愛すぎて死ぬかと思った」 『ヒトのこと試すなんて』と怒る前に、 あまりにも嬉しそうなので、拍子抜けし。 ついウッカリ、その頭を撫でてしまう。
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