再び0+1カ月+2週間

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気付いたら、『そうだね』と答えていた。 いつの間にか治人の姿は消えていて、 私は佐伯さんに帰ることを報告し、 涼介さんと一緒に店を出る。 駅に向かうタクシーの中、彼は言うのだ。 「この前の飲み会さ、俺の真の目的は、 由布の職場の人々と仲良くなることで。 内緒にしてたけど、 あれから森田さんと本多さんの3人で、 何度か飲みに行って。 恋愛相談を受けるということで恩を売り、 由布を守るよう頼んだのな。 そしたら、森田さん情報で、 元カレがこの出張で由布をモノにすると 宣言してたと聞いてさ。 こうして、ついて来たってワケ。 森田さん、佐伯さんって人と仲良くてさ、 店も森田さんが電話して訊いてくれたよ」 こっそりと1本遅い新幹線でやって来て、 私のミニスカサンタ姿も遠くから見たと。 この寒い時期に、私を追い回してたって、 なんかもう呆れるやら、おかしいやらで。 「変われば変わるものだね。少し前まで、 『由布だけは好きにならない』って」 …ねえ、少ししか経っていないのに。 「それ、忘れてくれると有り難い」 「やだ、ほんと言うとすごく傷ついたの」 …私たちの関係がこんなに変わるなんて。 いったい、誰に想像が出来ただろう。 「正直言うと、あの頃から意識してた。 だって由布、可愛いんだもん」 「じ、実は私も結構以前から好きだった」
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