再び0+1カ月+2週間

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そっと薬指にリングを嵌めた。 「改めて言うよ。俺と結婚してください」 涼介さんは、珍しく前髪を上げていて、 額にはうっすらと汗が滲んでいる。 姉の言葉が頭に浮かぶ。 >ねえ、由布。 >少しだけ勇気を出してごらん。 >まだまだ知らない世界が、 >ワクワクするような世界が、 >きっと待っているんだから。 うん、お姉ちゃん。 全然怖くない。 この人となら、どこへでも行けるよ。 「…はい。喜んでお受けします」 「ううッ!よおッしゃあ!!」 涼介さんが右手を上げると、 それを合図に給仕さんが奥に消え、 そこから生バンドが登場。 ムードたっぷりなジャズを奏でだす。 「な、なんなのコレ?」 「ん。最高の夜にしたくてさ」 そりゃもう注目の的になっているのに、 彼は、満面の笑みで聴き入っている。 ま、いっか。 幸せそうだし。 ていうか、私も幸せだし。 ああ、またその顔。 あまくて、あまくて、あまい、その顔……。 --END--
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